NFTが広げる本の可能性とは?電子書籍やデジタル付録について解説

NFTはアートやゲーム業界のみならず、ファッションや世界遺産といった様々なジャンルにおいて高い有用性を発揮しています。

一方、その革新的技術は「本」の世界においても新たなビジネスモデルが確立されつつあることをご存じでしょうか。

本記事では、NFTを活用した電子書籍やデジタル付録についてを解説していきますので、一見関連性がなさそうな両者が生みだすシナジーを掴み、今後の投資に役立てて下さい。

NFT×本で生まれる新たなビジネスモデル

デジタルコンテンツにおいて高い有用性を発揮するNFTと紙媒体のイメージが強い本は、一見すると全く関連性が見出せないようにも思われます。

しかし、現在の市場においては両者を組み合わせることで生まれる新たなビジネスモデルが大きな注目を集めているため、ここからは1つずつ詳しく見ていきましょう。

電子書籍が一点物の資産になる

出版業界のデジタルコンテンツといえば近年タブレットやスマホの普及によって需要が高まっている電子書籍が代表的であり、もちろんNFT化することが可能です。

したがって、もしNFT書籍というものが生まれれば、これまでは量産的な読み物に過ぎなかった存在を、レア雑誌や絶版本と同じように一点物のコレクタブルアイテムへ昇華させることができる上に、クリエイターである著者や出版業界にとっては資産価値が付与されることでダイレクトに売上向上に直結する効果が見込めるでしょう。

電子書籍の二次流通

NFTがもたらす新たなビジネスモデルとして、電子書籍の二次流通も見込まれており、本格的に業界で実施されれば実体を持たないデータ上の本を、紙媒体と同じように中古として転売できるようになるでしょう。

当然従来の市場においては実現し得なかった販売形態であり、更なる需要の拡大はもちろん、数量限定発行によってプレミア価格がついたNFT書籍の転売ビジネスや、より幅広い層へのリーチといった未知数の可能性が秘められています。

本の付録が資産価値を持つ

コミックや雑誌にはターゲットの購買欲を高めるために購入者限定の付録をつけることがあり、業界ではこちらもNFTを活用したデジタル付録に切り替える動きが始まっています。

そしてこの手法は電子書籍とセットにすることも当然可能ですが、それ以上に紙媒体の本に付属させることで購買層の拡大と実店舗への流入数向上が図れるポイントに注目が集まっています。

また、特にキャラクター要素の強いコミックとの相性が良いことから、人気コンテンツと組み合わせた際の経済効果も見込まれており、購入者側にとっても本を買うだけで資産価値が見込めるコレクタブルアイテムが入手できるようになる期待が持てるでしょう。

出版業界のNFT活用事例

ここからは出版業界におけるNFTの活用事例について見ていきます。実はここまで解説してきたビジネスモデルのほとんどが既に市場で実施されているため、本格的に主流となる日もそう遠くはないといえるでしょう。

メディアドゥのデジタル付録

電子書籍流通を手掛ける株式会社メディアドゥは、出版取次業務を手掛ける株式会社トーハンと業務提携を結び、全国書店にてNFTを活用したデジタル付録を紙媒体の本とセットにしてリリースしました。

同社はより幅広いカテゴリーのアイテムを用意して様々なジャンルの本に対応できるようサービスを展開させていく意向を見せており、既に小学館や集英社といった業界の主要出版社と実装に向けた協議を始めていることから、今後の動向に大きな注目が集まっています。

Gaudiyの二次流通実証実験

ブロックチェーンをベースにしたプラットフォーム開発を手掛ける株式会社Gaudiyは、2021年夏にNFT化した電子書籍を古本として転売するための実証実験を予定しています。

また、この計画に提携企業として参加するのはマンガアプリ「GANMA!」で有名なコミックスマート株式会社であることから、コミックジャンルの更なる需要拡大に期待も持てるでしょう。

そしてこの取り組みは電子書籍の売上増進だけでなく、二次流通における出版社や作者への利益還元も目標としており、従来にはない新たな収益スキームの構築も見込まれています。

サウナランドのNFT化

なかなか手に入らないことで有名なサウナ愛好家のためのレア雑誌「サウナランド」は、電子書籍化されていない刊をNFT化して、マーケットプレイスにてオークション方式で出品しました。

通常でもプレミア価格がつくほどの希少性に加えて、出版及び販売ができる商用利用権も付帯しているポイントが更なる市場価値を生みだし、最終的には約276万円という業界市場稀に見る高額で落札されています。

人気コミックのデジタル原画NFT

株式会社TARTは電子書籍配信サービスを運営する株式会社ナンバーナインと共同して、人気コミックである「異世界行ったら、すでに妹が魔王として君臨していた話。」のNFTをリリースしています。

そしてこのプロジェクトは、電子書籍化される前の解像度が高いデジタル原画であることに加えて、1巻100ページの作品をページ毎にNFT化し、誰がどの場面を手に入れるか分からないというNFTならではの販売戦略も話題となりました。

加筆されていく本

ブロックチェーン技術導入のコンサルティングを手掛けるBlockBase株式会社は、ブロックチェーン上に電子書籍を構築することで、購入後も内容が「加筆されていく本」をリリースしました。

ちなみに、この製品は出版社と著者に対する転売後の利益配分スキームといったNFTと同様の機能を実装していながらも、法的には異なる建て付けの管理及び配信方法となっており、同社は今回のプロジェクトを皮切りに、画像等の様々なフォーマットにも展開させていく意向を示しています。

NFTがもたらす出版業界の変革とは!?

デジタルコンテンツを唯一無二の存在に昇華できる特性はNFTの代名詞でもありますが、ブロックチェーンをベースにした技術がもたらす出版業界へのベネフィットは決してそれだけには留まっていません。

そこでここからは、これまで提唱されてきた数々の課題を整理しつつ、どのような形で有効打になるのかを確認していきましょう。

二次流通の利益が還元される

ECサイトやフリーマーケットアプリの発展に伴い、近年中古本等を扱う二次流通市場の規模は大幅な拡大を見せていますが、従来の販売スキームには転売が成立した際に出版社や著者へ還元する仕組みが存在しなかったため、クリエイター側が得るべき正当な利益の確保が困難という問題が業界全体で提唱されていました。

しかし、ブロックチェーンベースで発行されるNFTは、過去の取引履歴の全てを追跡することができる上に、予め「二次流通取引額の~%を発行者に還元」というプログラムも組めるため、紙媒体を少しずつ電子書籍に移行することでクリティカルなボトルネックの解消が可能となります。

電子書籍の売上シェア拡大

インターネット利用率は近年増加の一途を辿っており、当然出版業界においても電子書籍のシェアは徐々に大きくなっています。

しかし、未だ市場全体における売上の6割強は紙媒体の書籍となっており、従来の販売戦略では今以上の伸びしろを引きだす有効打に欠けていました。

一方、NFTはこの問題に対しても有用性が高く、資産価値の付与や中古本としての流通といった新たなアプローチを実施することで、ターゲット層だけでなく、売上シェアに関しても拡大を図ることができるでしょう。

出版物販売低迷の打開策

現代においてはインターネットを活用すれば本を買うこともなく有益な情報を手早く仕入れることが可能でり、若年層の活字離れが進んでいる傾向と相まって、出版業界全体の販売が低迷基調となっていました。

そして、その問題は書籍にとってもう1つの重要な収益源である、広告媒体としての機能も低下させる要因となっており、TwitterやYouTubeといった強力なプラットフォームの登場も、当然出版業界にとっては不利に働いてしまっています。

そこでNFTを活用したデジタル付録や人気コミックと組み合わせたアイテムを展開することで、話題性の向上と販売力のテコ入れが可能となり、直接的な書籍の売上はもちろん広告収入を確保する上でも有効な打開策となるでしょう。

海賊版を抑制する一手になり得る

既に連載が終了している漫画に加えて、現在進行形の作品に関してもインターネット上で公開してしまう海賊版サイトは近年逮捕者がでたほどの社会問題となっており、当然出版業界においてはダイレクトに売上へ影響を及ぼす天敵といっても過言ではないでしょう。

そして、その経済被害額は年間約500億円という莫大な規模に膨らんでしまっていることから、法的措置を含めた様々なアプローチで積極的に根絶を図ってきましたが、クリティカルな対策には至っていません。

一方、複製やコピーといった不正に対して高いセキュリティを発揮するNFTは海賊版の流通に対しても大変有効な一手になることが期待されており、被害が著しいコミックの電子書籍版をNFT化すれば特に効果を発揮するでしょう。

海外への流通が容易になる

日本の書籍は世界的にも認知度が高く、特にコミックは多くの熱狂的な海外ファンが存在していることから、業界的にも重要な収入源の1つに挙げられています。

しかし、これまで海外展開する際は以下のポイントにおいて現地のサポートが必要不可欠であり、新たにリリースするタイトルはもちろん、売上が見込める人気コンテンツすら大きな手間とコストが発生していました。

    • 紙媒体の書籍…書店確保、国際流通ルートの整備
    • 電子書籍…現地のメディアとの提携、コンテンツの拡充

一方、NFTを発行するブロックチェーンは世界中の誰もが取引する権限を持っていることから、日本にいながらも容易に海外へ発信することが可能となり、これまでよりも格段に効率的な規模の拡大が見込めるでしょう。

在庫リスクを削減できる

紙媒体の書籍は物質として存在する以上、販売店舗は在庫リスクを常に抱えなければならず、仮に売れ残ったものを返品したとしても、その先に待っているのは出版社にとっての損失と在庫の処分費用です。

このように、最終的に出版社を落としどころとした従来の販売スキームは、業界全体における収益の伸びしろを抑制しかねない要因に挙げられており、電子書籍販売に比重を傾けたとしても、未だ紙媒体の方が売上シェアが大きいことからクリティカルな有効策とはいえないでしょう。

しかし、NFTを活用して電子書籍の需要が拡大し、紙媒体に並ぶシェアと幅広い販売戦略が実施できるようになれば在庫リスク自体の軽減に繋がり、店舗の運営次第ではNFT書籍に一本化して根本的に解消することも不可能ではありません。

したがって、NFTがもたらす出版業界へのベネフィットはシンプルに売上向上だけでなく、出版社が従来抱えてきたコストに対しても有効な一手として期待されています。

まとめ

今回はNFTを活用したデジタル付録や電子書籍の事例を解説し、出版業界が得ることのできるベネフィットについて詳しく解説してきました。

デジタルコンテンツに資産価値をもたらすNFTと、物質として存在する本は一見全く関連性が見いだせないようにも思われますが、出版業界がこれまで抱えてきた在庫リスクや二次流通時に利益が還元されない問題に対する有効打として期待されており、電子書籍をNFT化することで、この世に一点しかないコレクタブルアイテムへ昇華させることも可能となります。

また、限定発行によって希少性を高めたデジタル付録を紙媒体の書籍に付属させれば実店舗への流入数増加、そしてそれに伴う売上の向上も見込めることから、NFTは出版業界においても高い有用性を発揮する技術といえるでしょう。

そして現在はスポーツやファッション、知的財産といった様々な分野においても活発にNFTの実証実験が行われているため、もし今後出版業界とのコラボレーションがあれば、新たなトレンドを巻き起こすきっかけになってもおかしくはありません。

したがって現在NFTの資産形成を検討している方は、本記事を参考にこまめに動向をチェックして、資産形成に役立てて下さい。

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